1980年夏、ロンドン紀行

これは、生まれて初めて海外旅行をした興奮から当時したためた文章を再録したものである。


7月31日朝7時過ぎ、ロンドン郊外のGATWICK AIRPORTに到着。朝だってえのになんか夕方のような感じのするところだ。日本時間で言えば夕方の4時ごろになるからこっちの自律神経は早くも夕方の態勢をとっているのかもネ。-------でもとにかくロンドンに来たってことは事実であります。南回りで飛んできたため、23時間も座ったまま、それも夜をずっと飛んでいたため、そんなに距離を飛んだって感じがしない。大きな部屋に入って出てみたら地球の反対側に来ていたって言う感じだ。ロンドン滞在って言ってもたったの6日間しかいられない。カネよりヒマのある学生時代に来るんだったかな。まぁ、いいと。ここで友人のToshi が迎えに来てくれているはずだが。

 

空港に出店している銀行でトラベラーズチェックをキャッシュに替えようと列に並んだ途端、Toshiが言った。

 

「スキンヘッズには気をつけろよ。とくに有色人種にはあいつら異常な感情を抱いているからな!」

 

朝だってえのにやたら夕方ぽくて空模様も悪く、なんとなーく落ち込んだ空気の支配する空港でそんなこと聞かされりゃ「やべえぇなー」と思いたくもなるもの。

 

「とにかくやつらには関わらなければいいさ。何か言われたら言葉が通じないフリをしてトボケるか、ニコッと笑って一目散に逃げ出すか」

 

そうそうお友だちになれそうもなかったらズラかっちまえばいいさ。(ナイフを)持ってるったって、いきなりさすわけじゃないだろうし、ネ。てな感じでいきなりイヤーなき分になったまま彼の赤いミニクーパーに乗ってロンドン市内に向かったのでありました。ホント天気が悪いねぇ。モーターウェイ(なぜかTom Robinson Bandを思い出しちまった)を快適なスピードですっ飛ばしながら外を見てると、車が左側通行ってこともあってなーんか日本の郊外を走っているみたい。でもここは決して東京から電車で来ることは出来ないところなのだっという妙な距離感もある。車内で彼がNMEの最新号をくれた。さて、この短い滞在の間出来るだけのGIGを観て、出来るだけのレコードを買い、出来るだけのバッヂと出来るだけのRock Bookを買うのだ。

 

ところが、渡英前のToshiの手紙にもあったが、どーも僕が滞英する約一週間てのは大物バンドのロンドン公演がない。それどころかLive spotでもいわゆる有名どころはないみたい・・・。ついてねぇなぁ・・・。そう思いながらNMEを開く。このNME、ホントにROCKがたっぷり詰まっているって言う感じで、東京で同じものを見ても「あっ、そーか」で終わっちゃうけどロンドンで見るとダンチなのです。先一週間のGIGの予定がロンドンのみならず全国規模で載ってるし、レコード店の広告、映画、イベント、インタビュー、チャート、写真、etcとにかくこれさえあれば困らないっていうすごいものなのです。それがまた週間で出てるっていうんだからまぁ当たり前といえば当たり前だけど、どーでぃてこれほど情報の量が多い東京にこんなGOODなペーパーが無いのかね?

 

Wilko Johnsonのプリマス公演なんてのもあるけどちと遠すぎてダメだなぁ、などとGIGのADをダダーっと見ながらめぼしいのを探す。それでもってすごいのを見つけちゃったのですよ。DNAのロンドン公演、これは8月1日、なんとDNAが観られるなんてねぇ!日本女性のIKUEさんはまだドラムやってんのかな・・・もし会えたらいろいろ話がしたいなぁ・・・なんぞといろいろ想像しておりました。そいでもってあとは「100クラブでReggaeを」なんてのも面白そーだね。おっ、Chelseaだと?今Chelsea ってReggaeやってんだろうか・・・?あとはMo-Dettsなんてのもあるな。よしよし結構Live spot行けば面白いのが観られそうだ、と。あとはテキトーに入って無名(と言っても僕が知らないだけ)バンドでも観ちゃったりして、ということでゾクゾクするようなまるでNMEが宝の山の案内地図でもあるかのように思えたのでありました。

 

時差ボケを最小限にするため、多少キツくても到着の日は起きていることにした。それで車はチェルシー地区にあのPink FloydのLP"Animals"で有名な4本柱が不気味に聳え立つChelsea Battersea Power Station(火力発電所)へと向かっていた。やっぱ雨が降ってきた。でも不思議とロンドンの住民は傘を差さないんでございますよ。濡れても平気なんだな。それに雨のほうもすぐ止んでしまうし、湿度自体東京に比べたら極端に低いのですぐ乾いてしまう。てんで、雨がチョボ降る中、発電所をバックに記念撮影。Battersea Parkを少々歩き、再び車で、かの有名なKings Roadへ入っていったのです。

Kings Road, BOY & Our Price,

 

とにかくレコードを買おう!東京を出る時、僕の心の中はこの欲望で占められていたのです。New WaveやReggaeなんぞはきっと腐るほどあるに違いない。それに東京にもOpus-1やCISCOがあるので、とにかくそういうのは極力避けて、Oldiesを探そうではないか。ヨーロッパはRock'n'rollマニアが多いからきっと再発盤やレア盤もあるだろう。それに東京で買うより安いだろうしね。------こんな考えを持っていたので僕はKings Roadでレコード店を探したのです。

 

店並みに沿ってうろうろしてるとレコード店ではないが、これまた有名な、あのBOYがあるではありませんか!ちょいと中へ入ってみるとそれほどでもなく原宿辺りのブティックという感じで本場の凄味みたいなものはありません。Tシャツやボンデージ衣類がダーっと吊るしてあり、小奇麗な店です。

 

「いいと思ったら買っちゃったほうがいいよ。買い過ぎて嘆くことはないと思うよ」

 

とToshiが言うので、「King RoadのBOYで買った」という動かし難い事実のみのためにいまや年代モノという感のあるSex Pistolsの"Anarchy In The UK"と"Gods Save The Queen"の模様の"Made in the USA"という表示のあるTシャツを買ったのです。それと「これはBOYのオリジナルか?」と念を押してデボラ・ハリーの顔が大きくプリントされたTシャツを1枚買った。値段は6ポンド程度(1ポンド=約450円)で安くない。ここは試着させてくれるので試着室へ入ったらご丁寧にも壁に"Bollocks"と落書きがしてあった。昔あったセディショナリーズなんかはどうしたのかねぇとPunk Rockの教科書のようなことを尋ねると「あればつぶれちまって(closed down)、ここ(BOY)で品物をまとめて売ってる」とのことでした。僕は東京のパンクショップってのに行ったことないんだけど、あんな感じなんじゃないの?Echo & the Bunnymenなんか流れてたけど。

 

BOYの白いビニール袋を提げて、いかにもオノボリさん然としたところを顕示する結果になったが、OUR PRICEというレコードチェーン店に入った。ここのいはリイシューだったがCarl PerkinsやBo DiddleyのLpがごそっとあって僕は興奮し、早速何枚か買った。やっぱロンドンにはこういうLPがあったか!てな具合である。この店を出る頃には天気はいつの間にか晴れており、まったくイギリスの天気の変わり易さの激しさを目の当たりにした次第であった。この日はちとオーソドックスだがNo Diceを観ることになっていたのだが、インド屋でカレーを食っているとどーにも眠くて仕方なく予約しておいた民宿(日本の住宅とは雲泥の差のある豪華な、と言っても平均的ミドルクラスの家庭なんだろうが)で早々と床に着いてしまった。

Oxford St., Virgin Record shop & Marquee

2日目は午前中に一応のロンドン名所めぐりを二階建てバスにて済ませ、再びGIGとレコードの巷に向かった。このロンドン観光バスツアーてのは約2時間ノンストップで名所を巡るものであり、ハイドパークのあるマーブル・アーチ(グラハム・パーカーのライヴのタイトルを思い出した)から出発し、Rockとはまったく関係のない歴史的な平均的観光客の喜びそうなところをぐるぐる廻るのであった。しかしこのバスの車内アナウンスたるや妙にコクニーぽい巻き舌で何言ってんのかわからなくなっちゃったし、前の席にいたオーストラリア人夫婦のおっさんのほうがやたらに話しかけて来るのでテキトウに目立ったものをカメラに収め、あとはそのおっさんと話してた。

 

午後Toshiと落ち合い、Oxford St.からソーホー地区へ入っていった。それにしてもロンドンてのは一種の人種の坩堝だね。白人は当たり前のイメージなんだけど、とにかく有色人種が多い。インド人、ウエスト・インディーズ、チャイニーズ、アラブ系、イタリア人、ギリシャ人、いろんな人種がいて驚いた。それでいて活気があるかというとそうでもない。妙に静かだったりしてレストランなんて何時間いても急かされないし、勘定書だって"Bill, please!"と言わなきゃ持ってこない。リラックスしてるってのかテンポが違うのかいわゆるビジネスやってるとこには行かなかったけど、一班の生活はどことなーくのんびりしててそれでなんか暗くて冷たくって、て感じ。街並みも黒く煤けてるしね。でも東京みたいな汚れ方じゃないみたいだった。美的センスってのがある。ゴッタ煮じゃなくていろんな人種にしろ何にしろ不自然じゃなく街にいる訳だ。だから僕も旅行者って感じがあまりしなかった。

 

そしてOxford St.にあるかの有名なVirgin Record Shopへ入った。このレコード店、異様にバカデカく、とにかく並べられているレコードの数と言えばものすごい量である。何列も何列もあっておまけにブックスタンドみたくレコードがラックに入ってこっちを向いているんで壮観なんだが、室内が暗く、その上、やたら混んでいるので何かよくわからないけど探検意欲も盛り上がりすぎてメゲちゃうって感じ。Tシャツ、ポスター、Books、Videoなんかも同時に置いてあって本のとこなんかJohn LennonやDylanやNew Waveに混じってなぜかMAOなんてのもあったりSci-Fi(あっちではSFのことをサイファイと言う)も一緒にあったりする。ここでちと見かけぬPatti Smithの本なんかを買い、モモヨへのお土産のひとつとしてロビー・シェイクスピアとスライ・ダンバーのTaxiという新譜を買った。

 

レコードにしても本にしても東京ってのは入ってくる情報は多いし早いんじゃないかなぁ。このTaxiにしてもちゃんと早々とOpus-1に飾ってあったりする。あとで出てくるけどミュージックカセットなんかで結構珍しいなと思ってもちゃんと東京で売ってるのよね。まったくイヤになるぜ。レゲエなんか僕はそんなに詳しくないしマイナーレーベルもあんまり追っかけてないからこの辺詳しい人だったらホントに珍しいのがあるんだろうけど、その量たるやものすごく多くてひとつひとつ見てるのが途中で面倒になってしまった。

The Fist GIG; U.K. Subs!

 

さていよいよソーホー地区へ入っていくわけだが、なんとなく歩いているとロックの殿堂、グラハム・ボンドやアレクシス・コーナー先生の昔から広くその名をロック愛好家に親しまれているあの古典的クラブ"MARQUEE"の前に来ちゃったのでありました。この晩の出演はNMEによれば"Phones for details(詳しくは電話で)"となっており、なにやら意味ありげだったのですが、前を通りかかると暗い感じの建物の入り口に青くみずみずしい字でやんわりと"U.K. SUBS"なんて書いて貼ってある。それを見たToshiがさっと顔色を変えてこう言った。

 

「ヤ、ヤ、U.K. Subsとは・・・!このバンド凄いんだよネー。ライヴ観たことないんだけど前に一度フィルム観たことがあってさぁ。ドドーッと客が暴れてネ、怖いなぁ。このごろあんまり見かけないし・・・。」

 

その晩はRock がrでnでDNAを観ることになっていたので少なくとも僕はU.K. Subsを観ようって気にはならなかった。でもToshiが、

 

「でもねぇ、せっかくロンドン来たことだし・・・。やっぱロンドンならではの過激バンドを観た方がいいんじゃない?!」

 

なんて言う。マーキーの外にはいつしか革ジャンにバッヂやらペイントをベタベタくっつけ、なにやら恐ろしそうな顔付きのヤツラがどこからともなく集まり始めている。どっちにしろ夕食をとってから、と思い、マーキーを一旦あとにした。典型的Punksの数はいよいよ増すばかりで中にはスキンに近いヤツや最近つとに有名なトロージャン(これ東京の雑誌で知った名前)と言われるカラフルなトサカ頭の男女(!)があちこちにかたまって開演を待っている。やつらの目はやはり鋭いような気がする。日本人だったらだいたい顔付きとかでその人がどんなひとなのか察することもできようが、ここは異国の地、ましてや昨日降りたったばかりでわかるわけなんかない。それにToshiがスキンには気をつけろよ、と言ったことが妙に僕をしてビビらせた。Loftや屋根裏ならそんな格好の人々に混じって待ったりもしようがなにせやばい気配が頭から抜けない。もし、カメラを向けたら快く写ってくれるだろうか。それとも襲ってくるだろうか。「日本から来たんだ。パンク・ロックを観にね」「ほう、そうかい。ここは本場だからな。え?凄いだろ?」なんて話が出来るだろうか?それとも「テメー、オレたちカネなんかねーんだぜ。ここまで来るのにいくらかかったってんだ。それでオレたちの楽しみをハタから観察しよーってのか?!フザケンじゃねぇよ!」なんてことになったらどうしよう。なんて考えていて、結局友だちになるチャンスがなかった。

 

そしてToshiとふたりで歩いていると、開演を待ってるPunksの一人が実に聞き取りづらい言葉で何か話しかけてきた。わからないので聞くと、ヘッヘ!なんて仲間で笑いあってる。中には人懐こそうで悪気なさそうなのもいたけど、Toshiに聞くと、あいつ「10ペンスくんねーか?」って言ってたみたいだぜ、とのことで、「冗談かな」と言うと「いや、あいつらホントにもってないんだよ」との解説であった。仮に10ペンスやったとして友達になろうなんてセコイ根性を出したら、オイ、オレにも呉れよ、てな感じで結局身ぐるみ剥がされちゃったりしたかもしれない。それともSubsって凄いとかなんとか言いながら話を切り出したらどうだったかな?なんて思っても自意識過剰と得体の知れぬ恐怖感で結局無視してしまった。そしてすぐさま次のすれ違った2人組みに何か聞き取れないインネンの言葉を続けられたのであった。これも無視した。もはやすっかりビビッてしまい、ああサングラスでもかけるんだった、などと思った。

 

でも、怖いもの見たさというか、やっぱSubsを観たいと思った。どんなに荒れるのかロンドンの本場で体験してみたかった。Toshiが

 

「やっぱりこの客の柄の悪さは去年のThe Clash以来だな。とにかく普通のヤツが来てない」

 

というセリフに反して、普通の人も来ることを祈りつつ、何かあったらすぐ逃げられるように入り口のところにいる、ということにして夜になるのを待ち、再びマーキーへ赴いたのであった。DNAのほうは相当深夜のGIGになりそうだったので、Subsを観てから車で駆けつけても間に合う、そう判断したのであった。しかし、短い滞在で観た数少ないLiveのうちまず初めにHard Punkの大御所がくるとはなんたるめぐり合わせ!

 

夜9時ごろマーキーに着くと、すでに中では演奏が始まっていた。

 

「よかった!普通の人も来てる!」

 

すかさず、Toshiが言った。それで我々は入り口でチケットを買い、チラシを何枚か取って、中へ入っていった。中は暗く、すでに暑く轟音は入り口のガラスのドア越しにカラフルな照明とともに外に伝わってくる。本場でのライヴ第一弾ということで非常に奇妙な感じがした。上着のポケットには小型カメラ、もしろんフラッシュなし(フラッシュをたいて目立ちたくなかった)。その下にはステレオカセットを吊っている。インジケーターが入力にあわせて赤く点滅している。ドアを開けて中に入る。ムッとする熱気の奥で赤や青のライトをあびて見え隠れするU.K. Subs。僕はU.K. Subsに関しては名前しか知らなかった。写真すら満足に見た覚えがない。音はデカく、パワフルで且つとことん典型的なハードパンクサウンドだった。と言ってもPistolsのようにたわんだところは無く、あくまでハードロックに近いハード&ヘヴィさだ。来てる奴らは皆、背が高い。そして手にビールのジョッキを持っている。音がデカいのもそのはずで、何段ものデカいPAが両側にガツンと立っている。

 

さぞかし荒れ狂っているだろうと思っていたがさにあらずポゴでキメて暴れているのは最前列の人束のPunksだけですぐ後ろから後の人はビールを手に無表情で突っ立ったままである。暗い室内に少々の間隔を置いて林立する客ってのも結構不気味である。そのうち暴れてる奴らはステージに乗って一緒に歌い始めた。次から次へともくもくと登っていき、ついにステージは客で一杯となり、演奏者が見えなくなった。客同士はステージの上から下へ飛び蹴りふうに襲い掛かったり、一見、喧嘩してんじゃないかと思えるような踊りをしたり(ほんとうに喧嘩してたりして)、歌ったり、とにかくはしゃぎまわっている。それは妙に健全であった。俺たちの時間じゃん、てな土着意識がたっぷりでそのくせ割と冷静な客も多くてこの辺は東京とあんまり変わらないみたい。ただ舞台も男が圧倒的に多く、だから暴れ方もダイナミックである。でも東京だって去年あたりのLizardやFriction、じゃがたらあたりだったらもっと盛り上がってんもんね。

 

演奏者でもっともトチ狂ってたのがドラマーでスティックでライトを叩き割ったりしてた。それでも全会場的混乱には至らず。アンコールを1回やって第一部公演は終わった。"See you at 11:00!"と言ってたから、きっと11時にまたやるんだろう。われわれは即座にマーキーを出て、Rock Garden目指してコヴェント・ガーデンへと走った。マーキーの中で僕は突然カセットテレコの電池がなくなっていることに気づいた。このテレコやたら電池食うみたい・・・!

Rock Gardenに来たものの・・・

 

Rock Gardenに着いてみると、なにやら様子がおかしい。Tonight AppearanceのところにはまるでDNAとは関係ないバンドの名前が書いてある。見間違いかと思い、入り口のオネエちゃんに聞いてみると、DNAは来ないと言う。なんか知らないがとにかく来ないんだそうで、代わりに無名の(僕が知らないだけ)Out Of OrderというバンドとRye & the Quoter Boys と言うのが出ていた。前者はDeep Purple的なノリのNew Wave Bandで結構上手く、時としてコステロぽいメロディなんか繰り出しなかなかよかった。後者は典型的な軽いR&Bバンドでサウスサイド・ジョニーのロンドン版てな感じでしたが、なぜか全員妙に健康的でジョギングパンツなんかはいちゃって揃って動いたりしてそれなりに面白かった。

 

街頭で:トテナムコート・ロード駅付近のパブでは入り口に"LIVE BAND"と大きな文字が書いてあり、午後まだ明るいうちから街頭に向けて場かばか大音量でライヴをやってる。実にデカい音が通りに鳴り響いちゃってここで二度ほど立ち見をした。この時観たのはKITCHてのともうひとつのはロックンロール・タイプのニューウェイヴ風味付けのなされた派手なバンド。演奏はかなりのものでこういうのが比留間タダで見れるのは面白い。街頭と言えば、地下鉄構内、地下駐車場通路ほかいろんなところで金をせびるストリートミュージシャンを見かけた。

 

Chelsea at 100 Club (5 August)

Sex pistols、Clashなど初期パンクロッカーたちが出演したことで知られる100 Club、最近はもっぱらJazzとReggaeを中心にライヴをやっている。この日もNMEには「100 Clubでレゲエを」ということでChelseaの名が載っており、あのChelseaなのかどうか疑問を持ちつつ出掛けたが、やはりあのChelseaで、この日ばかりは100Clubもハードパンクの坩堝と化したようです。前座のChron-gen(クローンジェネレーションってことか)はなかなか聞き応えのあるハードパンクでBBC Radio 1なんかでもかかっているよう。

 

オックスフォード通り100番地の地下にあるここは大きくダンススペースがとってあり、Chron-genが終わるとReggaeやDUBがガンガン掛かり、Punksたちは思い思いに煙草をすったり、ビールを飲んだり話したりガン飛ばしたりして独自の空間を作っている。奏功しているうちになぜかJohn Lennonの"Instant Karma"と”Cold Turkey"が掛かり、またなぜかストーンズの"You Can't Always Get What You Want"が場違いのようでいて完璧にフィットして始まるとその途中でChelseaが登場した。演奏はセカンド・アルバムの頃のClashみたいなハードなナンバーが多く、これまた会場のほぼ全部を成すPunksが次々とステージにあがり、合唱を始めた。ラスト・ナンバーは"No Fun"でこれなんか楽しそうにファンとの共演でありました。客の暴れ方はChron-genのほうがすごく、「人津波」が来るので気をつけていないと危ない。ふと見ると前のほうで並み居るコワーイ人々なんかものともせず、なんと普通の格好で踊りまくっている育ちのよさそうな女の子がふたりいる。この二人、終わってから道ですれ違ったらフランス語で話していた(続く)。